ベトナムでの会計制度について|仕組みから実務対応まで徹底解説します

ベトナムでの会計制度について|仕組みから実務対応まで徹底解説します

ベトナムでの会計のすべて|仕組みから実務対応まで徹底解説

ベトナムの会計制度は、26のベトナム会計基準(VAS)を軸とした独自体系となっており、2024年11月にはIFRS適用が正式承認されるなど大きな変革期を迎えています。

本記事では、財務省規定の最新制度から実務上の留意点まで、詳しく解説いたします。

目次

ベトナムの会計制度とは

ベトナムで事業を展開する企業にとって、現地の会計制度への正確な理解は欠かせません。ベトナムの会計制度は独自の特徴を持ちながらも、国際的な基準との調和を図る大きな変革期を迎えています。

ベトナム会計基準(VAS)

ベトナム会計基準(Vietnam Accounting Standards:VAS)は、ベトナム財務省が2001年から2005年にかけて公布した26の基準から成り立っています。国際会計基準(IAS/IFRS)を土台としつつ、国内の経済状況や法制度に合うよう調整が加えられたため、現地で実務に取り入れやすい仕組みになっています。

ただし、金融商品や減損、従業員給付といった基準は含まれていません。この不足を補うために適用されているのが、通達200/2014/TT-BTCです。通達200は企業会計制度の実務ルールを定めた文書で、仕訳方法や財務諸表の作成手順、科目区分などを詳細に規定しています。

そのため、会計担当者の日々の処理や決算の進め方に直接影響し、企業が遵守すべき基盤として重要な役割を担っています。さらに2024年11月29日には、国会でIFRSの適用を認める会計法改正が承認されました。これにより、今後は段階的にIFRSへの移行が進む流れとなり、企業にとって大切な会計上の判断にも大きな影響を与えることになります。

会計制度の法令体系とルール

ベトナムの会計制度は階層的な法令体系により構成されており、すべての企業がこれらの法令に従って財務諸表を作成することが義務付けられています。最上位の会計法から実施細則まで、体系的なルールが定められているのが特徴といえます。

会計法および実施細則(第174/2016/NĐ-CPなど)

ベトナムの会計制度は、会計法(第88/2015/QH13号)を最高法規として、その実施細則である政令第174/2016/NĐ-CP号により詳細な規定が整えられています。

会計法は、企業の会計処理に関する基本原則を示す根幹の法律であり、すべての企業が従うべき統一的なルールを定めています。一方で政令第174/2016/NĐ-CPは、この法律を現場で運用するための細則で、記帳方法や帳簿管理の形式、財務諸表の作成基準、監査の要件などを具体的に規定しています。

つまり、この二つを基盤とすることで、企業は日常の会計処理から決算・監査に至るまで一貫した枠組みの中で業務を進めることができ、制度の透明性や信頼性が保たれる仕組みになっています。

勘定コード表・統一勘定科目

ベトナムでは通達200/2014/TT-BTCにより、統一勘定科目表が法定化されており、すべての企業が同じ勘定科目コードを使うことが義務付けられています。統一勘定科目表とは、取引を仕訳する際に用いる勘定科目の名称と番号を標準化した一覧表のことです。

たとえば「売上」「現金」「固定資産」といった科目ごとにコードが割り当てられており、企業はその規則に沿って仕訳を記録します。この制度により、どの企業の帳簿であっても同じルールで分類・記録されるため、財務諸表の比較が容易になり、税務当局や監査機関にとっても透明性の高い確認が可能になります。

日本とベトナムの会計制度の主な違い

ベトナムと日本の会計制度には、根本的な考え方から具体的な処理方法まで、重要な差異が存在しています。

これらの違いを理解することは、ベトナム進出企業の財務管理や連結決算において極めて重要な要素となっています。日本企業が現地子会社を管理する際には、これらの相違点を十分に把握しておく必要があるでしょう。

土地使用権・減損会計の扱い

ベトナムでは土地の私有制度が存在しないため、企業が利用する土地は「所有」ではなく「使用権」として認められます。その結果、会計上は無形固定資産に分類され、日本のように土地を有形固定資産として計上する制度とは根本的に異なっています。

さらに、ベトナムでは減損会計基準が未発行のため、資産価値が下落しても減損損失を計上する仕組みが整っていません。この違いにより、同じ事業内容であっても、日本基準とベトナム基準では資産の見え方や財務諸表上の評価が大きく変わることになります。

退職給付金制度、資本変動計算書の有無など

ベトナム会計基準(VAS)には退職給付会計基準が含まれていないため、企業は将来の支給額を見積もって引当金として計上するか、実際に退職給付を支払う時点で費用処理するかを選択できます。日本基準のように詳細な退職給付債務を算定して計上する制度がないため、企業ごとに処理方法が異なり、財務諸表の比較に影響が生じることがあります。

また、日本基準で作成が義務付けられている株主資本等変動計算書に相当する財務諸表は、ベトナムでは作成義務がありません。そのため、資本取引や剰余金の変動を体系的に把握する仕組みが弱く、投資家や利害関係者にとっては情報が限定的となる点に留意が必要です。

VASとIFRSの関係性・将来の動向

ベトナム会計基準(VAS)と国際財務報告基準(IFRS)の関係は、いま大きな転換点を迎えています。2024年11月29日にベトナム国会でIFRS適用が正式に承認され、段階的な導入ロードマップが確定しました。

2022年から2025年までは任意適用期間とされ、2026年以降は上場企業などを対象に強制適用へ移行する計画です。この導入により、ベトナム企業の財務情報は国際的な基準に沿って整理されることになり、日本企業を含む海外投資家にとっても比較や評価が容易になる仕組みが整いつつあります。

ベトナムで会計実務を進める際の基礎知識

ベトナムで会計業務を適切に行うためには、記帳から財務諸表作成まで、現地の法規制に基づいた実務知識が不可欠です。ここでは実際の会計実務で重要となるポイントについて詳しく解説します。

記帳・帳簿保存に関する制度

ベトナムの会計法では、企業に対して厳格な記帳義務と帳簿保存義務が定められています。これらの制度は企業の財務活動の透明性を確保し、税務当局が適切に監督できる仕組みを整えるために導入されています。

違反した場合には罰則が科される規定もあり、遵守が強く求められています。記帳はベトナム語で行うことが義務ですが、外国語の併記が認められているため、日系企業を含む外国企業にとっても実務上の対応が取りやすい環境が整えられています。

帳簿保存期間、必要な書類、保存形式

ベトナムの会計法では、帳簿や関連書類の保存期間について明確な規定があります。会計帳簿や財務諸表など記帳に直接関わる重要書類は、決算日から最低10年間の保存が義務付けられています。これは企業の活動を長期的に検証できるようにするためです。

一方、日常的な管理書類は5年間の保存で足りるとされています。また、会社設立関連の基本文書など、一部の資料は永久保存の対象となっており、企業の根幹を示す記録として扱われています。

財務諸表の作成と開示要件

ベトナムの会計法では、企業に対して4つの基本財務諸表(貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、財務諸表注記)の作成が義務付けられています。これらは規定された様式に従って作成する必要があり、企業の規模や業種にかかわらず統一されたフォーマットが適用されます。

様式を統一することで、異なる企業間でも財務情報を比較しやすくなり、税務当局や投資家が経営成績や財政状態を正確に把握できる仕組みが整えられています。

貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書

ベトナムで作成が義務付けられている財務諸表は、財政状態計算書(貸借対照表)、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つが基本となります。

必要に応じて財務諸表注記の提出が求められる場合もあり、取引内容や会計方針を補足する役割を担います。いずれも統一された様式で作成することが定められており、この仕組みによって企業間での財務情報の比較が容易になり、税務当局や投資家が経営実態を正確に把握しやすくなっています。

注記・開示情報の要件

財務諸表の注記は第4の基本財務諸表として位置づけられており、会計方針や重要な会計上の見積り、後発事象などの詳細な情報を開示することが求められます。

注記は財務諸表本体だけでは伝えきれない背景や判断根拠を補う役割を持ち、利用者が企業の財務内容をより正確に理解できるようにするための重要な手段となっています。

会計通貨と換算ルール

ベトナムでは原則としてベトナムドン(VND)を報告通貨として使用することが義務付けられています。ただし、売上や仕入などの主要な取引を外貨で行う企業は、事業年度開始の10営業日前までに税務当局へ通知すれば外貨での記帳が認められます。

税務申告に使用する財務諸表については、最終的にすべてベトナムドンに換算して作成することが必要です。これは税務当局が統一された通貨基準で企業を比較・監督できるようにするためです。

会計責任者(チーフアカウンタント等)の設置義務

ベトナムでは会計法により、企業にチーフアカウンタント(CA)の設置が義務付けられています。チーフアカウンタントは会計部門の責任者として、財務諸表の作成や会計処理の適正性を管理し、企業の会計情報の信頼性を担保する役割を果たします。

資格要件として、最低2年以上の実務経験、大学や専門学校での専門教育の修了、さらに認定試験への合格が求められています。なお、社内に人材を雇用する方法に加えて、会計事務所へ業務を委託することも認められており、企業規模や経営方針に応じて柔軟に体制を整えることが可能です。

外資・日系企業向けベトナムでの会計・税務上のポイント

外資企業や日系企業がベトナムで事業を行う際には、現地特有の会計・税務上の課題に適切に対応することが求められます。

特に親会社との連結処理や税務申告では、日本とベトナムの制度の違いを理解していなければ、数値の整合性や申告内容に差異が生じる可能性があります。そのため、両国の制度を踏まえて調整を行うことが、企業の適正な経営管理と法令遵守を確保するために重要です。

日越企業間の内部取引・連結調整

日本の親会社とベトナム子会社の間で発生する内部取引では、移転価格税制の適用が重要な論点となります。ベトナムの移転価格税制は国内関連者取引も対象としているため、日本の制度よりも適用範囲が広いのが特徴です。このため、関連者間取引を行う企業には移転価格文書化が義務付けられており、ローカルファイル、マスターファイル、国別報告書の作成と保存が必要です。

さらに、連結決算においてはVASとIFRSの差異調整が欠かせず、特に減損会計や金融商品会計が未適用であることから、調整作業が複雑化するケースが多く見られます。これらの対応は企業の信頼性確保と税務リスクの回避に直結するため、慎重な管理が求められます。

税務・会計上のズレ

ベトナムにおいても日本と同様に、会計上の利益と税務上の所得には差異が生じます。この差異には、将来的に解消される一時差異と、解消されない永久差異があります。一時差異の典型例には、減価償却の法定超過部分や賞与の未払処理があり、永久差異には親会社へのサービス料や税務上認められない費用が含まれます。

企業は法人税申告にあたり、これらの差異を正しく調整しなければなりません。さらに税効果会計を適用することで、一時差異に対して繰延税金資産や繰延税金負債を認識する必要があり、これが実務上の重要な課題となっています。

事業開始時および会計年度変更時の注意点

ベトナムでは原則として暦年が会計年度とされていますが、管轄当局から事前承認を得れば3月末、6月末、9月末を期末とする年度への変更も認められています。会計年度を変更する場合、法人税の課税期間は12か月を超えてはならず、移行期間についても決算書類の作成と外部監査が必要です。

設立初年度については、最初の会計期間が3か月以下であれば翌年度と合算することが可能です。また、監査済み財務諸表の提出と確定申告は各会計年度末から90日以内に行わなければならず、期末を変更する際には提出期限を守るためにスケジュール管理を徹底することが重要です。

政府ルーリング・事前確認制度

ベトナムではVASに明確な規定が存在しない場合、企業は財務省に文書で取り扱いを確認する事前ルーリング制度を利用できます。また、移転価格については事前確認制度(APA)が整備されており、企業は3年間分の現地経費や商品・サービスの価格、利益目標などを文書でまとめ、事前に税務当局の承認を受けることが可能です。

これらの制度は、税務リスクを軽減し、事業を安定的に運営するための仕組みとして重要です。特に複雑な取引や新しい会計処理を行う場合に有効であり、企業の安心につながります。近年は税務当局もAPA制度の手続き改善を進めており、実務において活用しやすい環境が整えられています。

ベトナムの会計業務|委託と自社の比較

ベトナムにおける会計業務の実行方法は、企業の規模、業種、経営方針によって大きく異なります。現地法人設立後は、現地の会計基準(VAS)に基づく記帳・申告が義務となるため、専門的な知識とベトナム語対応が必要になります。

アウトソーシング(会計事務所利用)のメリット・デメリット

ベトナムでは外資企業すべてに会計監査が義務付けられており、その対応を効率的に行うため、専門知識を持つ日系会計事務所を活用するケースが一般的です。最大のメリットは専門性の確保であり、ベトナム会計基準(VAS)や税制に精通した専門家から一貫したサポートを受けられます。

これにより人員を自社で確保する負担がなく、監査対応まで含めて業務を任せられる点も安心材料です。コストは中小規模企業であれば月次会計業務に 約12,000,000〜36,000,000VND(約500〜1,500ドル〔約75,000〜225,000円〕) が目安です。

一方で、情報共有に時間がかかることや、自社内で会計知識を蓄積しにくいという課題もあります。さらに会計事務所ごとに品質差があるため、委託先の選定は慎重に行うことが重要です。

自社内で会計チームを持つ場合のメリット・デメリット

自社内で会計チームを構築することは、事業規模の拡大に伴って検討される選択肢です。最大のメリットは、リアルタイムで財務情報を把握でき、経営判断を迅速に支援できる点にあります。

さらに、自社の事業特性を踏まえた会計処理や、日本本社との密接な連携も実現できます。一方で課題は人材確保の難しさです。実際にベトナムでは約4割の日系企業が人材不足を課題としています。

会計資格者の人件費は約9,600,000〜19,200,000VND(約400〜800ドル〔約6万〜12万円〕)が相場ですが、チーフアカウンタント資格を持つ上級人材は特に確保が難しい状況です。加えて、税制改正への対応や会計監査への準備など、専門知識を継続的に更新する必要もあります。

信頼できる会計事務所・サービスの選び方

信頼できる会計事務所を選定する際には、まず日本語対応力と現地での実績を確認することが重要です。ベトナムには約2,500社の日系企業が進出しており、同業種での支援実績を持つ事務所を選ぶことで、より適切なサポートを受けられます。

具体的な選定基準としては、日本人税理士や会計士の常駐、ベトナム公認会計士資格者の在籍、監査法人との連携体制が挙げられます。さらに、料金体系の透明性も欠かせず、月次会計、年次監査、税務申告が明確に区分されているかを確認する必要があります。

また、税務調査や制度改正への対応実績など、緊急時の対応力も評価すべき要素です。実績豊富な事務所として、設立支援から経営管理・営業・不動産紹介まで幅広いサポートを提供するVACANCE VIETNAMでは、現地事情に精通した総合的な支援を受けることができます。

日越にまたがる会計連携対応(報告・翻訳・調整)

国際会計連携では、ベトナム会計基準(VAS)で作成された財務諸表を日本会計基準やIFRSに合わせて調整する仕組みを構築することが不可欠です。主要な連携ポイントは財務報告の統一であり、本社が求める報告形式に応じて数値を整える必要があります。

特に減損会計などVASと日本基準の相違点については、詳細な説明資料を準備することが求められます。さらに、勘定科目や財務諸表項目のベトナム語・日本語対訳表を整備することで、監査対応時のコミュニケーションを円滑に進められます。

加えて、2026年以降のIFRS強制適用に備え、VASからIFRSへの変換プロセスを準備しておくことも必要です。実務面では、月次連結パッケージの作成、四半期・年次の決算説明資料の作成、税務調査時の通訳や翻訳対応などが具体的な対応業務に含まれます。

よくある質問・トラブル事例と対応策

ベトナムでの会計実務では、現地特有の制度や慣習により日系企業が予期しないトラブルに直面することがあります。税務調査での指摘事項や会計処理の誤り、制度変更への対応遅れなど、実際の事例を通じて効果的な予防策と解決方法を理解することが重要です。

仕訳ミス・税務指摘を受けたケース

ベトナムでは税務調査での指摘により多額の罰金を科される事例が頻発しています。典型的な誤りには売上計上や原価計算の処理ミスがあり、これらは決算作業の非効率化を招き、同時に税務リスクを大きく高めます。

さらに勘定科目の選定ミスも多く、同じ取引で前月と異なる科目を使用すると財務データの一貫性が損なわれます。税務調査では過去10年間が対象となり、延滞料は年10.95%と日本より高率であるため、企業への影響は甚大です。

対応策としては、月次での仕訳内容のチェック体制を整えること、そして現地会計事務所と定期的に税務コンプライアンスを確認することが有効です。

会計制度変更・法令改正への対応

ベトナムでは2024年11月29日に国会でIFRS適用が正式に承認され、2026年以降の強制適用に向けた準備が必要になりました。

2022年から2025年までは任意適用期間とされ、大企業や外資系企業については連結財務諸表作成におけるIFRS適用が義務化される予定です。さらに、2025年7月1日からは新しい付加価値税法が施行され、電子インボイスの利用も義務化されます。

これらの制度変更は企業の会計実務に直接影響を与えるため、VASからIFRSへの変換プロセスを整備するとともに、新しい会計書類規定への対応を進めることが求められます。実務面では、会計システムの更新、スタッフ研修の実施、監査法人との事前協議が不可欠です。

勘定科目の選定ミス/科目使い分けの失敗

ベトナムでは財務省指定の勘定科目コード(Chart of Account)の使用が義務付けられており、独自科目を使用する場合には財務省の認可が必要です。実務上は、同じ取引で異なる勘定科目を用いるケースや、911勘定(損益勘定の月次振替科目)の処理ミスが頻発しています。

これらの誤りは財務諸表の比較可能性を損ない、監査対応時に適切な説明ができない状況を招きます。特に日本の会計システムでは、911勘定の振替処理が正しく行われないことで損益計算書を出力できなくなる問題も発生します。

対応策としては、勘定科目の使い分けを明確にしたマニュアルの作成、月次での科目使用状況のチェック、さらにベトナム会計に対応した専用システムの導入が効果的です。

会計監査対応上の注意点

ベトナムではすべての外資系企業に対して規模を問わず会計監査が義務付けられており、監査報告書は法人税確定申告書に添付する必要があります。

監査対応における最大の注意点は、決算日から90日以内に監査を完了させ、同時に税務申告を行う進行管理です。監査法人は財務省への登録が必須であり、監査品質には大きな差があるため、事前の選定が重要です。

さらに外資系企業は省市レベルの税務局の管轄下に置かれるため、監査結果に対する税務当局の評価は厳格になります。実務面では、監査資料の事前準備、英語・ベトナム語での説明資料作成、監査人との密接なコミュニケーションが円滑な進行の鍵です。監査の遅延や不備は罰金の対象となるため、余裕を持ったスケジュール管理が不可欠です。

ベトナム会計で使えるツール・支援リソース

ベトナムでの会計業務を効率化し、現地規制に確実に対応するためには、適切なツールと支援体制の構築が不可欠です。

会計ソフトの選定から専門機関の活用まで、日系企業が利用できる実用的なリソースを体系的に理解することにより、業務品質を向上させると同時にコストの最適化を実現できます。

会計ソフト・ERPシステム事例

ベトナム市場では、現地会計基準(VAS)に対応した多様な会計ソフトが提供されています。

代表的なシステムとして、MISA SMEは年額約1.5万円で利用でき、中小企業向けの基本機能を網羅しています。BRAVOは大手企業向けの統合型ERPで、会計機能に加えて在庫管理、原価計算、部門別予算管理まで対応可能です。さらに、日系企業に特化したソリューションとしてはmultibookがあり、海外拠点管理に最適化され、35カ国以上で600社以上の導入実績を持ちます。

これらのシステムはいずれも財務省指定の勘定科目コードに対応しており、911勘定の自動振替処理などベトナム特有の要件にも適応しています。

日本語対応・翻訳サポートサービス

ベトナムの会計業務では、帳簿をベトナム語で作成することが義務付けられているため、日本語対応の翻訳サポートは重要な役割を担います。外国語で作成された会計証憑についても、すべてベトナム語への翻訳が必要となります。

翻訳料金の相場は、ベトナム語⇔日本語で1文字あたり1,200〜3,500VND(約0.05〜0.15ドル〔約8〜23円〕)程度です。特に税務調査対応や監査資料作成時には、正確な専門用語の翻訳が欠かせません。そのため、会計業務に精通した翻訳サポートを利用することで、実務の精度と効率を高めることができます。

現地・国際会計事務所・コンサルティング会社

ベトナムには約2,500社の日系企業が進出しており、それらに向けて豊富な実績を持つ会計事務所やコンサルティング会社が数多く存在します。

ベトナムで事業を進めるうえでは、会社設立の手続きだけでなく、会計・税務、人材、営業、マーケティング、さらには拠点探しまで多面的な準備が必要です。制度や実務の前提が日本と異なるため、各分野で断片的に支援を受けるよりも、全体像を踏まえて一貫して伴走できるパートナーを持つことが、立ち上がりの速度と安定性を左右します。

VACANCE VIETNAMは、この「全体最適」を出発点に据えています。進出前の現地視察・通訳手配、企業設立や駐在員事務所の開設といった初期プロセスはもちろん、設立後の経営管理、財務管理、人材管理、業務システムの導入・活用までを一気通貫で支援します。点ではなく線で支える体制を敷くことで、日々の意思決定が現場で機能し、ムダなやり直しや情報の取りこぼしを防ぎます。

まとめ

ベトナムでの会計は、独自の基準や制度が整備されており、日本との違いも少なくありません。事前に流れを把握しておくことで、日常業務の不安は軽減し、経営判断にも活かすことができます。

ただし法改正や国際基準への移行など変化も多いため、最新情報を継続的に確認することが大切です。複雑な処理や専門的な判断が求められる局面では、現地に精通した専門家のアドバイスを得ることで、より確実な対応につながります。

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