ベトナムで会社を設立するには?手続き・費用・注意点を徹底解説します

ベトナムで会社を設立するには?手続き・費用・注意点を徹底解説します

急成長を続けるベトナムは、今や日本企業にとって注目の海外進出先。とはいえ、制度や文化の違いに戸惑う方も少なくありません。この記事では、ベトナムで会社を設立するための基本ステップから必要な費用、注意点までを詳しく解説します。

目次

ベトナムで会社を設立する主な形態とは?

ベトナムで会社を設立する主な形態とは?

ベトナムで会社を設立する際は、いくつかの事業形態から目的に合ったものを選ぶ必要があります。出資者の人数や業種、事業規模などによって、適切な形は異なります。それぞれの形態には特徴があり、活動内容にも違いがあるため、基本的な選択肢を知っておくことが第一歩といえるでしょう。

一人有限責任会社(LLC)

出資者が一人で設立する有限責任会社は、「一人有限会社」とも呼ばれます。法人または個人のいずれか一名が出資することが前提となり、代表者が経営の全体を担うことになります。

この形態の大きな特徴は、出資者が会社の債務に対して出資額の範囲内でのみ責任を負うことにあります。つまり、個人資産と会社資産が明確に分かれるため、事業リスクを限定的に管理できます。一人有限会社は、ベトナムで初めて事業を始める日本企業や、現地法人の設立に対する手続きの簡素さを重視する場合に選ばれやすい形式です。

二人以上の出資による有限責任会社(LLC)

出資者が二名以上となる場合は、「二人以上有限会社」という形態になります。こちらは最大で五十名までの出資が可能で、個人と法人が混在して出資することも認められています。

この形式では、出資者全員が資本金の割合に応じた責任を負い、会社運営に関する重要事項は、社員総会での合意をもとに決定されます。設立後の経営体制は、代表者と社員総会の会長、必要に応じて監査役が構成要素となります。共同経営や現地パートナーとの合弁など、多様な関係性のなかで柔軟に会社を運営したいと考える場合に適しています。

三人以上の出資による株式会社(JSC)

株式会社は、出資者が三名以上必要となる会社形態です。出資者の人数に上限は設けられておらず、資本金は株式という形で分割されます。

この形式の利点は、資本調達が比較的容易であることや、株式譲渡による所有権の移転が柔軟に行える点にあります。ただし、社員総会が会社の最高意思決定機関となるため、意思決定には時間がかかる傾向があります。ベトナムでの株式上場を視野に入れるようなケースや、大規模な資本を必要とする事業で活用されることが多い形式です。

支店・駐在員事務所・GEOの違い   

会社形態以外にも、ベトナムでは支店や駐在員事務所の設置、あるいはGEO(雇用代行)という方法も用意されています。支店は、本社と同様の営業活動を行うことが可能ですが、設置が認められる業種は一部に限られています。一方、駐在員事務所は営業活動が許可されておらず、主に市場調査や連絡業務を担う拠点として利用されます。

また、GEOは現地に法人を設立することなく、雇用や給与計算などの業務を代行してもらえる仕組みで、短期的な進出や試験運用に向いているといえます。どの方法を選ぶかは、事業の内容や期間、進出目的によって変わってきます。選択に迷った際は、専門家の意見を参考にするのも一つの方法です。

会社設立に必要な手続きの流れ

会社設立に必要な手続きの流れ

ベトナムで会社を設立するためには、複数の段階を踏みながら必要な証明書や登録を進める必要があります。現地の法制度に沿って、正確かつ順序立てて準備を進めることが重要です。

ここでは、法人設立に必要な主要な流れをご紹介します。

ベトナムで会社を設立する際の主な手続きの流れ

ベトナムで会社を設立するには、いくつかの段階を経て手続きを進める必要があります。以下は、法人登記から実務開始に至るまでの基本的な流れです。

  • オフィスの契約
     事業実態を証明するため、登記用オフィスの賃貸契約が必要です。
  • 投資登録証明書(IRC)の取得
     外国資本による事業実施の許可を得るための第一段階です。
  • 企業登録証明書(ERC)の取得
     法人格を取得するために必要な登録証明書です。
  • 定款の認証
     会社の運営ルールを定めた定款を認証機関で手続きします。
  • 税務当局への登録
     納税者コードの取得と付加価値税などの登録を行います。
  • 国家情報Webサイトへの登録依頼
     企業情報を公式に公示する義務があります。
  • 印鑑の作成
     登記番号入りの法定印鑑を作成します。
  • 印鑑サンプル掲載通知書の取得
     作成した印鑑のサンプルを国家登録に届け出ます。
  • 銀行口座の開設
     資本金の払込みや日常の取引に使用する口座を用意します。
  • 従業員の雇用
     労働契約の締結や社会保険登録など、採用に関する手続きを行います。

以上が、ベトナムで会社を設立する際の主な流れとなります。ここからは、それぞれの手続きについて、必要な準備や注意点を具体的にご紹介していきます。段階ごとに確認しながら進めることで、スムーズな設立につながりますので、ぜひ参考になさってください。

内部リンク「ベトナム会社設立スケジュールの完全ガイド|期間・手続き・注意点」

法人登記前に行うべき準備 

会社設立の第一歩として、事前の情報収集と準備が欠かせません。事業内容がベトナムで認可される業種かどうか、外資規制があるかなど、進出先での規制を確認する必要があります。

また、事務所の所在地選定も重要な要素です。所在地は、行政手続きや税務処理に影響を与えるため、慎重な判断が求められます。さらに、現地での事業実態を示すために、契約予定の賃貸オフィスが必要となる場合もあります。事前にこれらを丁寧に確認しておくことで、後の手続きがスムーズに進む可能性が高まります。

投資登録証明書(IRC)を取得する 

外国企業や個人がベトナムで会社を設立する際には、まず投資登録証明書(Investment Registration Certificate=IRC)を取得する必要があります。これは、事業活動の承認を得るための重要な許可証です。

申請先と審査機関の違い

IRCの申請先は、事業の内容や所在地によって異なります。主に、計画投資省や地方の計画投資局が管轄しますが、業種によっては他の省庁の審査が必要になる場合もあります。また、中央機関か地方自治体のいずれが対応するかによって、審査の流れや所要時間にも違いが出てきます。提出先を誤ると手続きが長引くことがあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。

必要書類と取得期間の目安

申請には、出資者の身元を証明する書類や、事業計画書、オフィスの賃貸契約書などが必要となります。法人が出資する場合は、会社登記簿や定款の翻訳文も求められます。書類に不備がなければ、通常は十五日以内に発行されることが一般的です。ただし、事業内容によっては追加の審査が行われる場合もあるため、期間には幅があります。

企業登録証明書(ERC)の申請

IRCが発行された後は、企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate=ERC)の取得へと進みます。ERCは法人格を得るための証明書であり、登記上の企業名や所在地、資本金、代表者などが記載されます。

申請先は所在地を管轄する商業登録機関で、提出する書類にはIRCの写しや定款、代表者の情報などが含まれます。通常、五営業日前後で発行されることが多いですが、書類の整合性や記載内容の不備があると審査が長引くことがあります。

定款の認証と税務登録のポイント

ERCを取得した後は、定款の認証を受ける必要があります。これは公証人による確認手続きであり、会社としての活動内容や意思決定ルールを明文化した定款を正式な文書として認めてもらう手続きです。

その後、税務登録を行うことで、税務コードが付与されます。この登録は、税金の申告や納付を行ううえで不可欠なものであり、会計処理や経理体制の準備とも関係してきます。これらの手続きは、設立後の事業運営に直結するため、丁寧に進めておくとよいでしょう。

銀行口座開設と資本金の払い込みルール

法人名義の銀行口座を開設することも、設立後の重要なステップです。この口座に、登記時に定めた資本金を払い込む必要があります。

資本金は、通常はERC取得後九十日以内に払い込む必要があり、期限を過ぎると行政上の指導を受ける可能性があります。資本金の証明は、税務申告や各種申請の際にも使用されるため、通帳の記帳や証明書の保管にも気を配ると安心です。銀行によっては外国人や外資系企業への口座開設に時間がかかることもあるため、早めの準備が望ましいといえます。

国家情報サイトへの登録と印鑑手続きの注意点

会社設立後は、国家情報サイト(National Business Registration Portal)への情報登録も必要となります。これは、設立された企業の基本情報を公開するもので、事業の透明性を保つ目的があります。

あわせて、会社の印鑑(法人印)を作成し、その印影を登録しておくことも求められます。ベトナムでは印鑑が契約などの法的効力に関わるため、適切に管理することが大切です。印鑑のデザインや作成業者の選定にも決まりがあるため、事前に確認しておくとスムーズに進めることができます。

内部リンク「ベトナム会社設立の必要書類|法人登記の手続きと準備一覧」

設立にかかる費用は?

設立にかかる費用と資金の準備方法

会社設立には多岐にわたる費用が発生します。ここでは主な項目ごとに、準備すべき資金の目安を整理します。

オフィス賃貸料や初期投資の目安

物理的なオフィスを構える場合、その賃貸費用は場所や広さによって大きく異なります。Emerhubによると、バーチャルオフィス利用なら年間約約1,200米ドル程度から、実際のオフィス契約ではさらに高額になる可能性があります。サービス業や小規模オフィスでは仮スペースを活用し、コストを抑える選択肢もあります。

最低資本金の基準

ベトナムではほとんどの業種で最低資本金の法的義務はないとされています。ただし事業の実現性を見据え、通常は1万米ドル程度の資本金が求められるのが実務上の相場とされます。

教育や金融、保険、不動産などの特定分野では、事業内容に応じて数百万米ドルといった高額な資本金が求められる場合もあるため注意が必要です。

IRC・ERC取得時の行政手数料について

登録手続き自体の行政手数料は比較的低額です。現地の政府機関へは基本的に低額の定額料金のみが課せられ、公証や翻訳費用が別途必要となる点に留意してください。

労働許可証や翻訳・公証などの関連費用

外国人が代表を務める場合、ベトナムでは労働許可証や一時滞在カード(TRC)の取得が必要になります。労働許可証の手数料はおおよそ16〜25米ドル、一時滞在カードは145〜165米ドル程度で、いずれも行政負担は比較的軽めです。

ただし、日本で準備する登記簿や定款の翻訳・公証・認証には、文書1通あたり数万円から十数万円の費用がかかることがあります。さらに、就労ビザの取得にも10〜25米ドル程度が必要となり、業者に依頼する場合は追加費用が発生する点にも注意が必要です。

ライセンス税の納付

設立後に毎年納付が求められる「ライセンス税(Business License Tax)」は、資本金額によって年間約41〜122米ドル程度となります。ただし、設立初年度や中小企業は免除となる場合もあるため、状況に応じて確認が可能です。

内部リンク「ベトナム会社設立|費用の全体像と成功に向けた準備ポイント」

内部リンク「ベトナム補助金を活用して海外進出を成功させる方法|対象制度と申請」

会社設立後に必要な手続き

会社設立後に必要な手続き一覧

会社の設立が完了した後も、実際に事業を開始するためにはいくつかの重要な手続きが残されています。ここでは、ベトナムで法人設立後に必要となる主な対応事項をご紹介します。

印鑑作成・印鑑サンプル通知書の取得

法人の活動を正式に始めるにあたり、まず必要となるのが会社印の作成です。ベトナムでは、会社の印鑑は自由に作成できますが、使用する印影を国家機関に登録し、「印鑑サンプル通知書(Notice of Seal Specimen)」を取得することが求められます。この通知書の取得によって、会社としての正式な印章使用が認められるようになります。

国家情報Webサイトでの企業情報の公開

会社設立後は、企業基本情報を国家情報ポータルに登録・公開する必要があります。これは、法人登記の透明性を高め、法的な事業活動を行うための一環とされています。公開対象には、商号や代表者氏名、所在地などが含まれ、手続きは設立後30日以内に行うことが推奨されています。

従業員の雇用の際の労働契約・社会保険登録

現地で従業員を雇用する場合は、労働契約の締結とともに、社会保険・健康保険・失業保険への登録が必要です。これらは雇用主としての義務とされており、従業員の雇用開始から30日以内に手続きを行うことが望ましいとされています。労働関係の管理体制を整えることで、後のトラブルを防ぐことにもつながります。

業種別に必要な事業ライセンス取得とは

基本的な会社設立とは別に、特定の業種では追加の事業許可(サブライセンス)が必要となるケースがあります。たとえば、教育、旅行、飲食、Eコマース、医療関連などの分野が該当します。これらのライセンスは、それぞれ所管の省庁へ申請する必要があり、取得までに一定の期間や条件が設けられています。

VATインボイスの準備

ベトナムで事業を行う場合、付加価値税(VAT)のインボイス発行体制を整えておくことも大切です。近年は電子インボイス制度が義務化されており、税務局に申請のうえ、指定ソフトウェアを通じて電子的に発行・管理する仕組みへと移行しています。運用開始には準備期間が必要となるため、早めの対応が安心です。

ベトナムで会社を設立するメリットとは?

ベトナムで会社設立するメリットとは?

ベトナムは、東南アジアの中でも経済発展が著しく、近年は外国企業の進出先として注目を集めています。ここでは、現地に法人を構えることによって得られる主な利点をご紹介します。

法人税率が低く税制優遇制度が適用される

ベトナムの法人税率は標準で20%と、周辺国と比べても比較的低めに設定されています。さらに、特定の業種や地域で事業を行う場合には、法人税の軽減や一定期間の免税措置など、さまざまな優遇制度が適用されることがあります。こうした制度を活用することで、長期的に安定した経営基盤を築きやすくなります。

経済成長率が高く市場としての将来性がある

ベトナムは近年、年率6%前後という高い経済成長を続けています。中間所得層の拡大や都市部での消費活動の活発化により、国内市場のポテンシャルも大きく広がっています。製造拠点としての魅力だけでなく、現地市場向けビジネスにも発展の余地がある点は、大きな魅力といえるでしょう。

人材が豊富で採用しやすい労働環境

若くて学習意欲の高い労働人口が多いことも、ベトナムの特徴のひとつです。教育水準の向上やITスキルの普及により、専門性の高い人材の確保も可能になっています。また、他国と比べて人件費が比較的抑えられているため、人材採用の面でも柔軟な選択肢が得られやすい環境です。

ベトナムで会社設立する際の注意点・リスク

ベトナムで会社設立する際の注意点・リスク

ベトナムは多くの魅力を持つ一方で、制度や文化の違いから、慎重に対応すべき点も少なくありません。ここでは、会社設立を進めるうえで留意しておきたい主なリスクや注意点をご紹介します。

外資規制の対象業種と合弁が必要なケース

すべての業種で自由に外資系企業を設立できるわけではありません。教育、通信、医療、物流などの分野では、外国企業の単独出資が制限されており、現地企業との合弁が求められる場合もあります。また、出資比率やライセンスの取得条件も業種ごとに異なるため、事前の確認と慎重な判断が重要です。

ベトナム語での手続き

法人設立に関わる公的な書類や申請手続きは、基本的にベトナム語で行われます。翻訳の不備や内容の誤解によって手続きに支障が出ることもあるため、信頼できる通訳や翻訳者のサポートが不可欠です。特に、定款や契約書のような法的文書は正確性が求められるため、慎重な対応が求められます。

文化・商習慣の違いによるマネジメントの課題

言語だけでなく、働き方や意思決定のスピード、交渉の進め方など、日本とは異なる文化や商習慣が存在します。こうした違いが、現地社員とのコミュニケーションや組織運営において摩擦を生む可能性もあるため、柔軟な対応と相互理解の姿勢が欠かせません。

専門家の支援なしでは難しい手続きの数々

会社設立に必要な書類の準備や認証、各種申請は、多岐にわたり煩雑な手続きが伴います。とくに、外国人が代表となる場合や特定業種での申請には、追加の要件や専門的な知識が必要になることもあります。現地の法律や制度に精通した専門家の支援を得ることで、リスクを最小限に抑え、スムーズな設立につなげることができます。

ベトナム進出に向けて準備しておきたいこと

ベトナム進出に向けて準備しておきたいこと

ベトナムでの会社設立や事業展開を成功させるためには、事前の計画と準備がとても大切です。ここでは、現地進出を検討する際に意識しておきたい基本的な準備事項を見ていきましょう。

現地市場のリサーチを踏まえた事業計画の立案

まず取り組みたいのが、現地の経済状況や競合環境を踏まえた事業計画の策定です。ベトナムの消費動向や法規制、市場のニーズを調査し、自社の強みがどう活かせるかを具体的に描いておくと、後の手続きや実務もスムーズに進めやすくなります。数値に基づいた現実的な予測を立てておくことが大切です。

信頼できる現地パートナーや支援企業の選定

現地での法人設立や事業運営には、通訳や法律、会計、労務といった幅広い分野のサポートが欠かせません。こうした実務を安心して任せられるパートナーや支援企業を早い段階で見つけておくことが、進出の成否を左右することもあります。これまでの実績や対応の丁寧さを見ながら、信頼できる先を選ぶことがポイントです。

スケジュールと予算の策定方法

会社設立から実際の営業開始までには、さまざまな手続きが発生します。各ステップにかかる期間や必要な費用を把握し、現地での活動開始までのスケジュールを無理なく組み立てておくことが重要です。申請書類の準備や各種認証のタイミング、物件契約や人材採用など、見落としのない計画を立てておくことで、後のトラブルを防ぐことにもつながります。

まとめ

まとめ

ベトナムで法人を設立するには、現地の制度や手続きの流れを正しく理解し、一つひとつ丁寧に進めていく姿勢が求められます。事前に必要な知識を把握し、信頼できる専門家の支援を受けながら対応することで、予期せぬトラブルを避けることにもつながります。将来の事業展開に向けて、確かな一歩を踏み出すための参考となれば幸いです。

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