ベトナムのオフィス選び完全ガイド|コスト・立地など詳しく
近年の急速な経済成長により、ベトナムは日本企業の重要な進出先として注目されています。
しかし、現地でのオフィス選びには日本とは異なる独特な商慣習や法的要件があり、事前の知識不足が高額な初期費用や予期せぬトラブルを招くケースが数多く発生しています。
本記事では、ベトナム進出を検討される企業の皆様に向けて、適切なオフィス選びの手順と重要なポイントを詳しく解説いたします。
目次
ベトナムでオフィスを構えるには

ベトナムでの事業開始には、法人設立や駐在員事務所設立に先立ってオフィス確保が必要です。事業形態や規模に応じた適切な選択が、その後の展開を左右します。
ビジネスの目的を明確にする(営業拠点/支店/駐在所など)
駐在員事務所の設立には、外国商人として少なくとも5年間の事業活動実績が必要です。支店を設立する場合も、基本的に同じ条件が求められます。現地法人を設立する際は、オフィスビルや一般住宅を事業所として利用できますが、分譲マンションでの登記は認められていません。
バーチャルオフィスは駐在員事務所の設立時に利用できず、物理的に確認可能な専有スペースを備えた事務所が必要となります。ジェトロ(日本貿易振興機構)の調査では、在ベトナム日系企業の多くが事業拡大を検討しており、進出形態の選択は特に重要といえます。
必要な広さとレイアウトを決める(従業員数・ミーティングルーム等)
オフィス面積に関する具体的な法的基準は確認できていません。事業内容や規模によって当局が個別に判断するケースがあります。
面積計算では建築面積が一般的に使用されますが、実際の有効面積との差異に注意が必要です。オフィス面積80平方メートルと表示されていても、実測では75平方メートル程度の場合もあります。平方メートルあたりの賃料計算に影響するため、契約前の確認が重要です。
予算設定の方法と初期費用の見積もり
ベトナムのオフィス賃料は地域ごとに大きな差があります。ホーチミン市中心部の高級オフィスビルでは、年間およそ500ドル(約7万5,000円)/平方メートルが一般的な水準です。
ハノイ中心部では、月額で平均178ドル(約2万7,000円)/平方メートルとなり、前年比で13%上昇しています。賃料にはVATや共益費、光熱費が含まれる場合と含まれない場合があり、総コストに影響します。初期費用の内訳は物件によって異なるため、契約前に個別の確認が必要です。
内部リンク:「ベトナムオフィス内見のコツ|現地視察で失敗しないために」
ロケーション選びの重要性とエリア比較(都市別)

ベトナムでのオフィス立地選択は、事業の成功に直結する重要な決定です。各都市の特色や賃料水準を理解し、事業目的に最適なエリアを選択することが重要といえます。
ホーチミン市の主要地区
ホーチミン市では1区が最も賃料水準が高く、Aグレードのオフィスビルが集中しています。不動産会社の格付けはA・B・Cの3ランクに分かれ、立地や利便性が評価基準とされています。
市中心部のハイクラスオフィスビルは年間約500ドル(約7万5,000円)/平方メートルが相場です。
近年は1区以外でもフーニャン区やタンビン区などでセキュリティやバックアップ電力を備えた物件が増え、企業にとって立地の選択肢が広がっています。バックアップ電力を備えた物件が増えており、企業にとって立地の選択肢が広がっています。
ハノイ・中部・北部
ハノイのオフィス賃料はホーチミンに比べて低い水準にあります。2024年のハノイ中心部では平均178ドル(約2万7,000円)/平方メートル/月で、前年比13%上昇しました。空室率は18.4%となり、2024年第1四半期比で0.5%増加しています。
ハノイではテナントの価格感応度が高く、平均賃料の上昇幅は小さくとどまっています。2023年時点のオフィス全体平均賃料は約513,000VND/平方メートル(21.15ドル、約3,200円)です。中部・北部の市場データは確認できていません。
郊外や地方都市
郊外エリアでは賃料が中心部に比べて大幅に低く抑えられる傾向があります。ハノイ郊外では平均約36ドル(約5,500円)/平方メートル/月となり、市内中心部との価格差が大きくなっています。
郊外では大規模な都市開発プロジェクトが進行しており、新興エリアでのオフィス供給拡大が進む見通しです。交通インフラの整備や将来性を踏まえた立地選択が重要です。
オフィスタイプの比較

ベトナムでは事業規模や運営方針に応じて複数のオフィス形態から選択が可能です。コストや設備、契約条件が大きく異なるため、慎重な比較検討が重要といえます。
従来オフィス(専有オフィス)
従来型オフィスの賃料は月額15〜75ドル(約2,300〜1万1,500円)/平方メートルで、敷金・デポジットとして3か月分が必要です。最短契約期間は2年となり、スケルトン状態で引き渡されるため、設計や施工は借主が行います。
不動産会社の格付けではA・B・Cの3ランクに分類され、立地や設備内容により賃料が決まります。外観は総じて高級感がありますが、入居手続きは複雑で初期投資が高額になりやすく、長期的に安定した運営を予定する企業に向いたオフィス形態です。
レンタルオフィス/コワーキングスペース/サービスオフィス
レンタルオフィスは1デスク120ドル(約1万8,000円)から、4人用スペースは800ドル(約12万円)から利用でき、敷金・デポジットは2か月分です。
基本的に1年単位で契約でき、デスクや椅子などの備品があらかじめ設置されているため、入居が容易です。ハノイのコワーキングスペースは月額2,000,000VND(約12,000円)、ホーチミンでは月額2,500,000VND(約15,000円)で利用できます。会議室や共用ラウンジなどの設備を使え、初期費用を抑えながら柔軟な運営が可能です。
バーチャルオフィス
バーチャルオフィスは1契約あたり40ドル(約6,000円)から利用でき、支払いは一括が一般的です。物理的なオフィススペースはなく、登記住所としての利用が主な目的です。
駐在員事務所の設立時には原則として利用できず、実際の専有スペースを備えた事務所であることが求められます。現地法人の設立では、事業内容や規模に応じて当局が個別に判断する場合があり、事前に確認する必要があります。
賃料・内装・維持コスト

ベトナムのオフィスコストはグレードや設備水準により大幅に変動します。賃料以外の内装費用やインフラ整備費も含めた総合的な検討が重要です。
オフィスグレード(Grade A/B/C/Low-cost)の違い
オフィスグレードは外資系不動産会社の基準によって分類されます。グレードAは主要商業エリアに立地し、国際的なブランドを持つ企業や外資系企業が多く入居しています。
基準としては総賃貸面積10,000平方メートル以上、1フロア1,000平方メートル以上、天井高2.7メートル以上が挙げられます。グレードBは総賃貸面積5,000平方メートル以上、1フロア500〜1,000平方メートル、天井高2.5メートル以上の規模です。グレードCはこれらに当てはまらない建物で構成され、さらに低価格帯の物件はローコストオフィスとして区分されます。
内装工事(フィットアウト)の費用相場
内装工事の費用相場は、規模や仕様、施工会社によって大きく変動するため、案件ごとに個別の見積もりが必要です。工事期間については、数人規模でのデスクや家具設置、OA機器配線工事、内装整備で約2か月程度とされています。
ベトナムの多くのオフィスビルでは空調がビル管理側で一括制御されており、営業時間外は稼働しないケースが一般的です。そのため夜間や休日の工事では空調が使えず、作業効率に影響する場合があります。
内装業者選択では、ワンストップでハンドリングを任せられる会社の利用が推奨されており、ケーブル配線や各種許認可手続きなど多岐にわたる業務が発生します。見積もりから発注までは約2週間から1か月程度の期間が必要です。
電気・通信・空調など
電力については地域差があるため、非常用発電機の設置や維持費が追加コストとなる場合があります。
通信面では、ノートパソコンを無線LANで利用するのが主流であり、大掛かりな配線工事が必要となるケースは少なくなっています。空調は物件によって営業時間外の使用に追加料金が発生することがあり、長期的な運営コストに影響します。
契約・法規制についてのポイント

ベトナムのオフィス契約では日本と異なる法的要件や税制が適用されます。適切な契約締結と法的リスクの回避が事業の安定運営に不可欠です。
賃貸契約の期間・更新料・保証金・修繕義務など
オフィスの賃貸契約期間は2年が一般的で、更新時には賃料の引き上げを求められる場合があります。保証金は賃料の2〜3か月分、前家賃として1〜3か月分の支払いが必要です。途中解約は1か月前に書面で通知すれば可能ですが、多くの契約では保証金が返却されない条件となっています。賃料は銀行振り込みで前払いするのが主流です。
契約書に明記される通貨はVNDですが、現地法人設立前は国外からドル送金による支払いも認められています。支払期限を過ぎるとペナルティが課されるため注意が必要です。
登記住所としての要件
会社設立にはオフィス住所の確保が必須であり、投資法に基づく事業許可申請時にはオフィス賃貸契約書の提出が求められます。オフィスビルや一般住宅は利用できますが、分譲マンションでの登記は認められていません。
バーチャルオフィスは駐在員事務所の設立時に利用できず、実際の専有スペースを備えた事務所であることが必要です。登記移転や法人登記では権利書の提出が必要となるため、事前確認が重要です。法人設立後に新法人へ切り替える場合は、契約書にその旨を明記しておくことが望まれます。
税制・許認可・外国企業の設立要件
賃料にはVAT(10%)が課税される場合があり、契約時に賃料に含まれているかの確認が必要です。小規模オフィスでは個人オーナーとの契約となることがあり、納税証明書が発行されない事例も見られます。
外国企業が会社を設立する際は、本社の登記簿謄本や定款を公証人役場で公証し、法務局と外務省で証明を受けたうえでベトナム大使館で認証する手続きが求められます。駐在員事務所の設立には、外国商人が登録から5年以上の事業活動実績を有していることが必要です。
社員の働きやすさ・福利厚生

ベトナムでのオフィス選びにおいて、社員の働きやすさは事業成功の重要な要素となります。優秀な人材の確保・定着を図るうえで、従業員の労働環境に配慮したオフィス選びが求められています。
通勤アクセス・交通手段/渋滞対策
ベトナムの主要都市では交通渋滞が深刻な課題であり、オフィス立地を選ぶ際には通勤アクセスを重視する必要があります。調査ではハノイやホーチミン市で日常的な交通手段としてバイクの利用が最も多いことが示されています。
特に平日の午前8時〜9時と午後5時〜7時は渋滞が集中し、ホーチミン市では24か所の渋滞多発地点が確認されています。この状況は従業員の通勤負担を増大させており、公共交通機関の利用環境や主要幹線道路からの距離を考慮することが重要です。
安全性・防災・セキュリティ設備
ベトナムでオフィスを選ぶ際、安全性は従業員の働きやすさに直結する重要な要素です。近年はサイバーセキュリティ法の施行細則を定めた政令53/2022/ND-CPや、個人情報保護に関する政令13/2023/ND-CPが施行され、情報セキュリティに関する法的要件が強化されています。
オフィスビルを選定する際は、防災設備や入退室管理システム、監視カメラなどの基本的なセキュリティ体制を確認することが求められます。さらに、避難経路や防火設備が建築基準に適合しているかを事前に確認することが重要です。
快適性(空調・採光・休憩スペース・環境認証)
従業員の生産性向上のためには、オフィス環境の快適性が重要な要素となります。ベトナムの高温多湿な気候を考慮すると、適切な空調設備の整備は必須といえるでしょう。また、自然採光を活用した明るいオフィス環境は、従業員のモチベーション向上に寄与します。
環境認証の観点では、ベトナムではLOTUS認証制度が注目されています。これはベトナム・グリーン・ビルディング協会(VGBC)が実施する独自の環境認証制度で、2010年から運用されており、建物の環境性能を総合的に評価します。LOTUS認証を取得したオフィスビルは、省エネルギー性や快適性の両面で優れた環境を提供できることが期待されます。
厚生労働省の報告によると、ベトナムでは2021年1月から改正労働法が施行され、労働環境の改善に向けた取り組みが強化されています。週48時間以内の労働時間制限や適切な休憩時間の確保など、法的要件を満たした働きやすい環境の整備が求められており、オフィス選びにおいてもこれらの点を考慮することが重要です。
オフィス退去・長期運用のための注意事項

ベトナムでオフィスを長期運用する際は、退去時の原状回復費用、契約更新時の条件変更、将来の事業規模変動への対応を事前に検討しておくことが重要です。中長期的な視点でオフィス戦略を立てる必要があります。
退去時の原状回復・修繕コスト
ベトナムにおけるオフィス退去時の原状回復は、日本と異なる法的枠組みの中で処理されます。2025年時点では、不動産賃貸に関する法律改正により、契約書の記載内容がより重要になっています。
ベトナムの賃貸契約では、借主は契約終了時に物件を入居時の状態に戻す義務を負うのが一般的です。ただし、通常使用による損耗については貸主負担とされるケースが多く、契約書で明確に定めることが重要です。壁紙の張り替えや照明設備の交換など、オフィス特有の内装工事については、ほぼ全て借主負担となることを想定しておく必要があります。
修繕コストについては、指定業者を使う場合と自由に業者を選ぶ場合で対応が分かれます。指定業者を使う場合は期日内の工事完了やビル側のチェックがスムーズですが、工事金額に交渉の余地はありません。一方、自由選択の場合はビル規制の事前確認や施工中のチェックなど手続きが複雑になる傾向があります。
退去当日は荷物の搬出が終わり、入居時の状態に戻した状態(原状回復)で、オーナー立ち会いによる部屋や備品のチェックが行われます。この際、入居時の状況を記録した写真や動画があると、トラブル回避に有効です。
契約更新・家賃の見直し交渉のポイント
ベトナムのオフィス賃貸契約は2年契約が一般的であり、更新時には家賃の見直しが行われることが多いのが実情です。
通常は契約満了の30日前(場合によっては60日前)までに貸主へ更新意思の有無を伝えるのが契約条項になっています。更新する場合、家賃や契約条件の交渉が発生することが一般的です。投資回収を考えた場合、契約時に契約年数と賃料の上昇率は入念に確認し交渉する必要があります。
2024年時点のベトナムにおけるオフィス賃料は、ホーチミン市中心部でグレードAオフィスが月額50~60USD/㎡、ハノイ市でグレードAが月額30~35USD/㎡となっています。家賃は近年2~3割程度上昇しており、更新時に値上げを告げられることが多々あります。
長期契約をすることで賃料の値上げをしない内容または、毎年5%以内の若干の家賃アップでの契約交渉が可能です。また、家賃やその他費用、諸条件について、とりあえず1回は交渉してみることが重要です。市場相場を把握した上で、適正な賃料水準での交渉を行うことが成功の鍵となります。
契約更新ができる旨は基本的に契約書に記載されているため、初回契約時に更新条項を確認しておくことが重要です。更新後の家賃に納得できない場合は、期限内に他の物件を探す必要があるため、早めの検討が必要です。
将来の拡張・縮小の見通しを含める
ベトナムに進出する日系企業の事業展開意欲は高く、オフィス選びにおいて将来の事業規模変動への対応を考慮することが重要です。
ジェトロが2024年8月から9月にかけて実施した「2024年度海外進出日系企業実態調査」によると、今後1~2年の事業展開の方向性について、ベトナムでは「拡大」と回答した企業が56.1%(前年比0.6ポイント低下)となっています。「拡大」と回答した企業の割合は、ベトナムがASEANで最大となっており、事業拡大意欲の高さが伺えます。
ベトナムの2024年実質GDP成長率は7.09%を記録し、年初目標の6.0~6.5%を上回る成長を達成しました。この高い経済成長率は、日系企業にとって事業拡大の追い風となっており、オフィス需要の増加要因となっています。
製造業・非製造業ともに、「現地市場ニーズの拡大」と「輸出の増加」が事業を拡大する理由の上位に挙がっており、内需・外需とも売り上げ増加を見込めることが事業拡大意欲につながっています。拡大を検討する機能としては、「販売機能」が最も多く、製造業で「販売機能」を拡大すると回答した企業は56.5%となっています。
一方で、「縮小」もしくは「第三国(地域)へ移転・撤退」と回答した企業は合わせてわずか3.1%に留まっており、大幅な事業縮小のリスクは限定的です。ただし、行政手続きの煩雑さや法制度の未整備といったリスク要因も存在するため、柔軟性のあるオフィス契約を検討することが重要です。
将来の事業拡大に対応するため、契約時から拡張可能性を考慮したオフィス選択や、隣接フロアの優先借用権の確保、短期間での面積拡張が可能な物件の選定などを検討する必要があります。
最新トレンドと未来|ベトナムオフィスのこれから

ベトナムのオフィス市場は、デジタル変革とサステナビリティへの注目の高まりにより、大きな変化を迎えています。
政府の積極的なデジタル化政策と環境保護への取り組み、そして働き方改革の進展により、オフィス環境は従来の概念を超えた新しい形態へと進化しています。
働き方改革・ハイブリッド勤務の浸透
ベトナムでは働き方改革が進展しており、法制度の整備とあわせて柔軟な勤務形態が広がっています。2021年1月に施行された改正労働法ではテレワークに関する規定が新設され、雇用主には必要な機材の支給や通信費・電気代の負担、さらに支給機材の記録管理が義務づけられました。
近年の職場ではリモートワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッド勤務が定着しつつあります。2023年度のジェトロ調査では、ベトナム進出の日系企業の42.7%が人材不足に直面し、特に管理職で67.2%、専門職で61.8%、IT人材で56.8%が不足していると報告されています。こうした状況のなかで、柔軟な働き方を導入することが人材確保に向けた重要な対応策となっています。
サステナビリティ・グリーンオフィス・認証(WELLなど)
ベトナムにおけるグリーンオフィスの概念は、政府の環境政策と連動して急速に普及しています。
ベトナムのグリーン・ビルディングの評価基準として、NGO「ベトナム・グリーンビルディング協会(VGBC)」が実施するLOTUS認証制度が運営されています。
この制度は以下の7項目で評価されます。
- エネルギー
- 水資源
- 材料・廃棄物
- 健康・快適性
- 立地・環境性能
- プロジェクト管理
- その他の取り組み
これらの項目により採点された建築プロジェクトは、ポイントの高い順に「プラチナ」「ゴールド」「シルバー」「認証」の4つのレベル付けが為されます。ベトナムにおけるグリーン・ビルディングの建築件数(建築中のものを含む)は、2017年の約60件から2019年の約250件へと年39%で増加しています。
ベトナム政府は2014年3月20日付けで、2014年から2020年のフェーズにおける「グリーンな成長」に向けたアクションプランを策定しています(No.403/ QĐ-TTg)。この中では「制度の設計とアクションプランの策定」、「温室効果ガスの排出を削減するためのクリーンなエネルギーの利用」、「グリーンな生産」そして「グリーンなライフスタイルと持続可能な消費活動」の4つの主要なテーマが定められています。
2050年ゼロカーボン達成に向けたベトナムの取組みでは、2006年頃から任意のグリーンビルディング認証がいくつか導入されており、主なものにLEED、LOTUS、BCA Green Mark、EDGE等があります。これらの認証システムにより、ベトナムのオフィス市場では環境配慮型建物の普及が進んでいます。
IoT・スマートオフィス化・技術導入の動き
ベトナムにおけるスマートオフィス化は、政府のデジタル化政策と市場の急速な成長により加速しています。
2023年、ベトナムのモノのインターネット(IoT)市場は36億ドル(約5,400億円)の収益を上げました。この市場は大幅に拡大し、2023年から2030年までの年平均成長率で堅調な成長を続けると予測されています。
ベトナム国会は2025年6月14日、同国初となる「デジタル技術産業法(Law on Digital Technology Industry)」を可決しました。この法案は、国家としてのデジタル変革を本格化させ、ベトナムを地域のテクノロジー拠点へと押し上げることを狙ったものです。施行は2026年1月1日を予定しており、デジタル技術産業、半導体、AI、デジタル資産(仮想資産、暗号資産)の開発に関する法的根拠が初めて制度化されました。
また、政府は建設業界の完全デジタル化を2030年までに実現するロードマップを策定し、以下を目標に掲げています。
- すべてのプロジェクトでBIM技術を導入すること
- IoTやAIを活用し、現場を自動化すること
これにより、オフィス建設や運営にも大きな影響が及んでいます。
情報通信省(MIC)が発表した「デジタル経済発展計画2021-2030」では、2030年までにデジタル経済がGDPの30%を占めることを目標に掲げ、特にソフトウェア産業とICT人材の育成を最優先課題としています。この政策により、スマートオフィス関連技術の導入が促進されています。
まとめ

ベトナムでのオフィス選びは、日本とは異なる商習慣や法制度を理解することが重要です。
ホーチミン市やハノイなどの主要都市では、立地によって賃料相場が大きく異なり、エリアごとの特性も様々です。交通アクセス、周辺インフラ、従業員の通勤利便性なども総合的に検討する必要があります。
契約条件についても、デポジットの仕組みや更新時の条件、設備管理費の内訳など、細かな部分で想定外のコストが発生する場合があります。また、ビザ取得や各種許可申請との関連性も考慮しなければなりません。
このような複雑な要素が絡み合うため、現地の不動産市場や法規制に精通した専門家からサポートを受けることで、リスクを最小限に抑えながら最適な選択ができるでしょう。